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梅田防災スクラムゼミ 開催レポート
―オフィスでの被災を想定した防災対策―

2021年5月

梅田地区エリアマネジメント実践連絡会では、「いざという時その場にいる人同士で助け合える、みんながみんなを守るまち梅田」を目指し、梅田エリアの就業者を対象に、防災を考えるきっかけづくりや、防災を学びあう機会をつくる目的で、「梅田防災スクラムゼミ」を開講しています。2021年2月開講のゼミでは、損害保険ジャパン、東京ガス、東京地下鉄の3社の企業担当者より、各社が取り組む社内防災対策をオンラインでご講演いただきました。社会インフラを支える企業ならではの先進的な取組みの一部を、本レポートでご紹介します。

<2020年度梅田防災スクラムゼミ 概要>
日時:2021年2月26日(金)14:00~17:00
テーマ:オフィスでの被災を想定した防災対策

登壇者:
損害保険ジャパン株式会社
総務部
安岡正守氏
 
東京ガス株式会社
防災・供給部
水上清二氏
 
東京地下鉄株式会社
鉄道本部安全・技術部
木暮敏昭氏
登壇者:
損害保険ジャパン株式会社 総務部
安岡正守氏
東京ガス株式会社 防災・供給部
水上清二氏
東京地下鉄株式会社 鉄道本部安全・技術部
木暮敏昭氏

社員一人一人の安否確認

災害が発生した際、企業の初動対応において、社員一人一人の安否・被災状況を迅速に把握することが求められます。社内共通の安否確認システムを活用し、予め登録しておいた社員のアドレスに安否確認メールを一斉送信し、社員からの報告を受けるスキームが一般的ですが、今回登壇された3社では、既存のシステムだけに頼ることなく、新たな機能を追加する、確認手段を複数用いるなど、精度向上に努めていました。
損害保険ジャパン(損保ジャパン)では、拠点によって、社全体の安否確認サービス以外の緊急連絡網や、平時から使用しているLINEグループを併用して連絡を取るなどの工夫をしています。普段の業務で使いこなしているLINEのグループ機能を災害時にも活用することで迅速な返答・確認ができ、また職場内の社員同士で被災状況を共有することも可能になりました。
東京ガスでは、社員本人の安否報告だけではなく、出社の可否や家族の安否までを把握できるようにカスタマイズされたシステムを利用しています。社員の無事はもちろん、社員の家族も無事でなければ、安心して復旧活動に専念できないという考え方に基づいた取組みです。
東京地下鉄(東京メトロ)では、社員の安否確認に加え、有事の際の初動対応として、本社近隣居住の社員を指定し、対策本部を立ち上げるための訓練を定期的に行っています。社員の安全を前提にした組織的な訓練により、可能な限り早急な事業復旧を実現することができます。

  • 普段の業務で使うLINEのグループ機能を災害時にも活用
  • 対策本部設置訓練の様子

防災備蓄品の活用

事業所の立地条件や環境、また社員数が異なる場合、それぞれの状況、事情に合わせた防災用品・食料品を備蓄、保管することが必要です。社員一人一人に保存食や飲料水、ヘルメットといった防災グッズを会社から支給するというのは一般的な事例ですが、複数の事業所が全国各地に点在している、あるいは在宅勤務など社員がそれぞれに異なる働き方をしているなど、事情は各社によって異なり、それに応じた防災対策が求められています。特定の担当者のみが社内の防災にあたるのではなく、社員全員が日頃から備え、自衛を心がける仕組みをつくることも重要です。
損保ジャパンでは、災害発生時、被災地で支援業務にあたる社員向けの物資を常に備蓄しており、状況によっては被災地への救援物資としても支給できる分量も蓄えています。過去の熊本地震の際には実際に救援物資として提供された例もあり、平時の備蓄が災害時に有効活用できることが確認できています。
備蓄品の保管場所は倉庫や地下室が多いですが、東京ガスでは、被災時にすぐ使用できるよう工夫が凝らされています。例えば、被災時に水が止まった際に使用する携帯トイレは、各フロアのトイレ周辺スペースに備蓄されており、さらにその使用方法を従業員用トイレの個室扉に掲出しています。非常食の備蓄も同様に、1日分は各階の搬送機室に保管され、配布手順や調理方法などの案内を掲出しています。災害時を具体的に想定し、社員一人一人が戸惑うことなく対処するための対策です。
東京メトロは、非常食品の備蓄の他、災害対応の長期化に備え、社員向け弁当製造のグループ会社と連携し、弁当に使用する米を、断水時に備蓄の水の消費を抑えられる無洗米にし、販売分と併せて社員用備蓄品として沿線の各拠点に保管しています。商品としての消費によりローリングストック(※)も実行し、備蓄品の鮮度を保ちながら被災時にも日常生活に近い食生活を送ることが可能になります。
代表的な災害用保存食は、3~5年と長期間保存が可能なのですが、通常の食糧品と同様に、賞味期限・消費期限がくればストック分を廃棄、新しいものに入れ替える必要があります。東京ガスでは、数万食に上る保存食の期限が切れる前に、社会貢献型ショッピングサイトで販売するなど、廃棄費用に加え、廃棄する食料の削減につなげる工夫をしています。
(※)普段から利用しているもの(食料など)を少し多めに備え、古くなったものを日常的に消費、都度買い足していく備蓄方法。

  • 携帯トイレを各フロアのトイレ周辺スペースに備蓄し、使用方法をトイレの個室扉に掲出
  • 社員用備蓄品を社内各階に保管

新型コロナウイルス感染拡大後は、防災対策に加え、感染症対策も新たな課題として取り上げられていますが、本来の対策をおろそかにせず、感染症も災害の一種と捉えたうえで、新たな対策を盛り込みながら、現存の防災対策をブラッシュアップしていくことが重要です。今回紹介した各社の取組みには規模の大小がありますが、簡単なものから少しずつ導入を図り、人と企業の自助力を高めていきましょう。

梅田地区エリアマネジメント
実践連絡会メンバー

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