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梅田防災スクラムゼミ 開催レポート
―帰宅困難者対策の現状と課題―

2024年6月

梅田地区エリアマネジメント実践連絡会では、「いざという時その場にいる人同士で助け合える、みんながみんなを守るまち梅田」を目指し、梅田地区の就業者を対象に、防災を考えるきっかけや、防災を学びあう機会をつくる目的で、「梅田防災スクラムゼミ」を開講しています。
今回は、梅田地区において災害が発生した際の各ビル・オフィスレベルでの帰宅困難者対応をテーマに、施設管理者の立場からみた帰宅困難者対策のリアルな現状と課題に関する講義と、立場の異なる参加者で話し合いながら疑問点やもっと知りたいことを議論するグループワークを実施しました。最後にはグループワークで出た質問をもとに参加者と講師で意見交換を行いました。

日 時:2024年2月7日(水)15:00-17:00
会 場:ハービスPLAZA5階 8・9・10号室(オンライン会場:Zoomウェビナー)
参加者数:80名(オフライン:29名、オンライン:51名)

1.講座

テーマ:「帰宅困難者対策の現状・課題と提案について」
講 師:大塚 泰史氏(阪急阪神ビルマネジメント株式会社 防災指導部長)

大塚氏からは、帰宅困難者対策として施設管理者が求められていることや施設管理者の立場から見た課題をはじめ、官民一体となった対策を進めていくための工夫についてご講義いただきました。
また、大阪市や大阪・梅田駅周辺における帰宅困難者対策の取り組みの現状や、大阪梅田ツインタワーズ・サウスの帰宅困難者対策に関する運営マニュアル等、具体的な事例を挙げながら課題とその改善方法について紹介されました。参加者からは「よりリアルに課題をとらえることができた」「(受け入れの方法やマニュアルを)改めて確認するきっかけとなった」という声をいただきました。
大塚氏が提案する帰宅困難者対策の改善方策として、まずは一斉帰宅抑制を広く伝える必要があることから官民が連携した梅田地区にあるデジタルサイネージを活用した情報発信の仕組みをつくること、一時滞在スペースとして地下街を活用することが挙げられました。一時滞留スペースの運用に当たっては、施設の耐震強度や衛生面の対策、運営の要員確保の問題など課題は多くあるものの、地下街を有効に活用することで各ビルの負担軽減にも繋がるものであるとも述べられました。その実現に向けて梅田地区全体の関係者が集まる「梅田防災スクラムゼミ」等の機会を使いながら、梅田一帯の地下街の活用を検討していくことも一つの方法ではないかという考えをお示しいただきました。

講座「帰宅困難者対策の現状・課題と提案について」の様子

2.グループワーク

ファシリテーション:永田 宏和氏(NPO法人プラス・アーツ 理事長)

大塚氏の講義を受け、参加者同士でグループを作り、感想や意見を話し合うとともに、疑問に思った点や知りたい点など講師への質問を出し合いました。
多くのグループで人材や備蓄品の確保に関する質問が中心に挙がっていました。人材不足の課題からは、管理組織の枠を越え梅田地区全体での人材確保が良いのではないかという意見が出ていました。また施設側の備蓄品や帰宅困難者を受け入れるキャパシティの問題に対しては、行政の支援がないと各企業で進めていくのは大変だとの声が挙がりました。
他方、過去の災害時に生じた課題をもとに従業員の安全確保のためのマニュアルを作成したという事例を話していたり、ある企業の方は大阪市と協定を進めるなかで生じた悩みを紹介したりするなど、参加者自身の実体験を共有しているグループもあり、参加者が自分ごととして話し合いが進められている様子が見られました。

ワークショップの様子

3.発表・総括

グループワークで出た意見や疑問点を参加者全体で共有するとともに、それを受けて講師の大塚氏から回答やコメントをいただく形式で進められました。
帰宅困難者を受け入れるに当たりキャパシティを超える人が来て混乱が起こらないための対策はあるかとの質問に対しては、入口を開放し自然と入ってくる人を受け入れつつ状況を見て入口を閉める必要があるとのご回答をいただきました。他にも帰宅困難者受け入れに当たっての責任の所在を明確にできる運営の仕方に関する質問に対して、大塚氏からは、責任所在を明確に区分するのは難しい議論であるが、実際問題として人命にかかる安全対策についてはそんな悠長なことは言ってはいられず、施設管理の要員全員で安全確保を行う前提のもとでどこかの時点で思い切って判断する必要があるとの考えを示されました。また備蓄品の準備に伴う補助制度の必要性に関する質問に対しては、行政に対し地域・民間から支援の要請を継続的にし続ける必要があるとのことでした。
他にも外国人の言葉の壁に関する対策や帰宅困難者対策は津波とは切り離して考えたほうが良い等、議論は多岐にわたり、またオンラインでの参加者からも質問が出ており、参加形式に関わらず、今後の帰宅困難者対策についての理解を深める時間となりました。

発表、ならびに講師との意見交換の様子

ゼミ終了後に実施したアンケートでは、「帰宅困難者の受け入れは慎重に判断する必要があること、相応の要員や準備が必要であることを痛感した」や「自治体や大手事業者さんに頼るばかりでなく自助準備も必要であると改めて気づきを得た」といったご意見をいただきました。
今後も梅田地区エリアマネジメント実践連絡会は、「梅田防災スクラムゼミ」を通して梅田地区で働く方々とともに防災を推進していくための場づくりを進めていきます。

梅田地区エリアマネジメント
実践連絡会メンバー

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