コロナ禍における梅田地区でのエリアマネジメント活動について
2021.11.1
新型コロナウイルスの流行により人々の行動が制限される中、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会(以下「実践連絡会」)では、ニューノーマル時代にふさわしい内容・方法を模索しながら、まちづくり活動に取り組んでいます。
今回は、2020年から2021年における、コロナ禍での実践連絡会のエリアマネジメント活動についてご紹介します。
1.大阪市内における新型コロナウイルス感染症の状況推移
2019年12月に確認された「新型コロナウイルス感染症」は、2020年1月には日本でも初めて感染が確認されました。以降、日本国内でも感染が拡大し続け、2020年4月7日には大阪府含む7都府県を対象とした緊急事態宣言が発令されました。
大阪府においても、府民の外出自粛要請、大規模イベントの開催自粛要請、飲食店・商業施設などを対象とした休業要請など独自の措置を実施しました。このような措置の影響により、一時期、梅田エリアでの人出は前年度と比べて3割程度まで落ち込み、大阪市内各地においても人出が激減しました。また、大阪でも増加を続けていたインバウンド需要も消失してしまいました。
日本国内で初めて感染が確認されて約1年半が経過された今でもなお、新型コロナウイルス感染症が終息することはなく、大阪府内の累計感染者数は20万人を超えています(2021年10月時点)。
2.エッセンシャルワーカーへの感謝を伝える取り組み
新型コロナウイルスの感染が拡大し、初めて緊急事態宣言が発令された2020年4月、梅田にはまちを支えるエッセンシャルワーカーの姿がありました。実践連絡会では、こうした方々に少しでも感謝の思いが伝えられるようにとの思いから、梅田の駅や商業施設などに設置されたデジタルサイネージ上で、感謝・応援メッセージを掲出する試みを実施しました。また来街者が少しでも安心してまちで過ごせるようにという思いを込め、手洗いや咳エチケットなどの奨励メッセージも併せて展開しました。
このサイネージを通じたメッセージ発信が賛同を集め、大阪市を通じて、市内各所のエリアマネジメント団体へこのメッセージデザインが展開され、各団体が所有するデジタルサイネージへ掲出されることとなりました。
3.エリアイベントの実施
(1)梅田ゆかた祭
2012年から続く梅田ゆかた祭は、まちの魅力向上と情報発信を目的として、伝統の和文化である「ゆかた」をテーマに、梅田に関わる皆さまと一体となって作り上げる夏のエリアイベントです。大変残念ながら、昨年に続き、2021年も開催中止の判断をしました。
判断にいたるまでに、関係者の皆さまと意見交換をする中で、日頃から当然にあった梅田の人々との繋がりは、かけがえのないものであると改めて気付かされました。
そこで、私たちは祭に代わってコロナ禍でできる取り組みとして、大阪・梅田周辺の駅・施設23箇所のサイネージで一斉に、生活を支えてくださるエッセンシャルワーカーの方々、我々の活動を支えてくださる方々へ感謝の気持ちを届けるプロジェクトを行いました。
また、夏の梅田らしい風景と活気を生み出すべく、大阪伝統の技術である大阪浪華染め(手ぬぐい・浴衣の染色技術)の在阪企業様と連携し、廃棄前の手ぬぐい反物を再利用した「手ぬぐい装飾」をまちの各所に設置し、コロナ禍でまちにいらっしゃる方々に密を避けて楽しんでいただきました。
この取り組みが、まちの皆さまとともに祭を楽しめる安心安全な梅田に戻ることを願っているものとして、共感いただくことができれば幸いです。
(2)UMEDA MEETS HEART
2020年より開催している「UMEDA MEETS HEART」は、梅田のまちに関わる人のシビックプライドの醸成を目指す冬のエリアイベントです。
コロナ禍でのスタートとなった2020年は、先の見えない不安な状況下にあっても、梅田のまちで前向きな想いを共有しあい、梅田のまちからポジティブなメッセージを発信することを目指しました。また、ニューノーマルへの対応として、「密を避けるコンテンツ実施」、「オンライン上で参加できるコンテンツ実施」、「紙媒体からweb媒体への移行」を念頭に企画を検討しました。
具体的には、梅田に関わる方々から「梅田のまちへの願い」や「将来の夢」などのメッセージを募集してオブジェに展示する“HEART COLLECT”、地区内の商業施設・ホテルなどで実施するハートの装飾やイルミネーションをweb上で紹介する“HEART SPOT”、HEART SPOTを巡ってまちなかを回遊いただく“HEART RALLY”を実施しました。会期中に大阪府域で外出自粛要請が発令され、一部の企画をやむなく中止する運びとなりましたが、規模を縮小しながら可能な形で実施を継続しました。更に、将来に繋がる企画として、イベントの様子をまとめた映像を作成し、“HEART ARCHIVE”として記録しています。
4.エリアプラットフォーマーとしての取り組み
梅田地区内の施設同士をつなぐプラットフォーマーとして、コロナ禍においても、施設間の情報連携を促進させるための取り組みも実施しています。2010年より実施している「Umeda iハーツ(案内所ミーティング)」では、地区内の案内サービスを向上させ、来街者に快適に過ごしていただくことを目指し、所属企業・グループを問わず、地区内の案内所スタッフの方々が参加できるミーティングを開催し、まちの情報や道案内のツール、案内ノウハウなどを共有しあう機会を提供しています。
今年は「コロナ禍での各案内所の状況変化について」をテーマに、緊急事態宣言下での案内所の営業状況や、コロナ禍での案内対応において工夫している点などについて、出席者同士で意見を交換していただきました。会議では、各施設が抱える課題解決に向け、様々な取り組み事例や情報が集まり、コロナ禍における案内サービス向上に役立てていただいています。
5.今後について
依然、新型コロナウイルス感染症終息の見通しが立たず、今後もエリアマネジメント活動には種々の制約を受ける状況が続くことが想定されます。これまでの取り組みを踏まえながら、コロナ禍においても引き続き可能な形でエリアマネジメント活動を継続するとともに、afterコロナの新たな時代を見据え、将来につながる取り組みを検討してまいります。